世界の取り組み

はじめに

前々回で日本の今後のエネルギー情勢について話しましたが、世界の動向はどうなっているのでしょうか?

主要国の一次エネルギー構成

上のグラフから、世界の平均は有限エネルギー(石油、天然ガス、石炭、原子力)が9割以上を占めています。

世界各国の状況

世界各国の状況を地域別に見てみます。

3-1.北米

米国、カナダは資源が豊かで石炭、石油、天然ガスの生産量が上位に挙がっています。

両国は広大な大地を要しているため水力発電量が多く、また科学技術力が高いため原子力発電量も多いです。

このように資源が豊富な米国ですが、一方で再生可能エネルギーの導入も進んできています。

米国では、オバマ大統領が2013年6月地球温暖化対策行動計画で「20年までに再生可能エネルギー発電量を2倍にする」と公表しました。

3-2.西ヨーロッパ諸国

西ヨーロッパ諸国は国ごとに原子力発電に対する考え方が大きく分かれています。

イタリアは初めから原発を使用しない方針を堅持していました。

また、東日本大震災後には、ドイツ、ベルギー、スイスが原子力発電所を期限を決めて全廃する方針を決定し、スペインとスウェーデンもその流れに追随しました。

世界有数の原子力大国であったフランスでも原子力発電に対する考え方が大きく変わり、現在は原子力依存度を下げる検討を行っています。

西欧諸国では多くの国々が原子力を放棄し、太陽光・太陽熱・風力等、再生可能エネルギーの導入を進めています。

3-3.北欧

北欧は自然に恵まれた環境であるため、水力発電が盛んです。

特にノルウェーは水力発電だけで電力をほぼ100%賄っています。

また、ノルウェーは資源大国であり、天然ガスの生産量は世界第7位であるにも関わらず、石炭・石油・天然ガスを合せた火力発電の割合はたったの1.8%です。

原発に関して、ノルウェー、アイスランド、デンマークは初めから原発ゼロ、スウェーデンは東日本大震災後に将来原発全廃の意向を示しました。

一方でフィンランドは今後も原発を継続していく予定です。

北欧も西欧と並んで再生可能エネルギーの導入に積極的な地域です。

3-4.アジア

アジアは非常に火力発電割合の高い地域です。

中国、インド、インドネシアは石炭、イラン、サウジアラビア、エジプトやマレーシアでは天然ガスと石油での火力発電が主力です。

一方、日本、韓国、台湾、タイといった資源非保有国は輸入石炭や輸入天然ガスによる火力発電が主流です。
特に、地理的環境や経済構造が日本と近い韓国や台湾では、かつての日本と同様、原子力発電によって自前のエネルギー源を確保する政策を採ってきています。
経済成長著しい中国は今後原子力発電を大規模に展開していく計画を既に立てています。

また、インドネシアとフィリピンは原子力発電計画の廃止で、地熱発電の普及に踏み切りました。

フィリピンでは、原発の安全性や経済性が疑問視されたことで、インドネシアでは、福島第一原発事故を受けて検討されていた原子力発電所計画が打ち切りになりました。

今、両国では、海外の金融機関や商社が地熱発電プロジェクトに大規模に出資し、開発を展開しています。

また、オーストラリアも資源大国です。

化石燃料からの火力発電割合が88%と圧倒しており、CO2排出量を減らすため原発の導入に踏み切ろうとしましたが、国民からの支持を得られず計画は打ち切られました。

今後は脱石炭を目標に、太陽光・風力発電へと徐々にシフトしようとしています。

3-5.その他新興国

ロシア、南アフリカ、メキシコは、自国の資源を活用した火力発電に大きく依存しています。
メキシコは地熱発電量世界第4位も誇り、今後は地熱発電プロジェクトへの投資も増えていく見込みです。
ブラジルも国内で石炭や石油を生産している国ですが、火力発電の割合は高くはなく、電力の74%は水力発電で行っています。
ブラジルは、バイオエタノールによるバイオマス発電の割合が7.6%と高いのも特長で、バイオマスでの再生可能エネルギー導入が進んでいます。

3-6.まとめ

  • 北米(米国、カナダ)は資源が豊富で選択肢が幅広いが、再エネの導入も積極的に取り入れている。
  • 西ヨーロッパ諸国は多くの国々が原子力を放棄し、再エネの導入が最も進んでいる。
  • 北欧では、フィンランド以外の国(ノルウェー、アイスランド、デンマーク、スウェーデン)は原子力を放棄する方針。
  • ノルウェーは資源がたくさん採れるにも拘わらず、水力発電だけで電力をほぼ100%賄っている。北欧も再エネの導入に積極的な地域。
  • アジアは火力発電割合の高い地域。
  • インドネシア、フィリピン、オーストラリアは原子力を放棄する方針であるが、日本、韓国、台湾、中国はその予定はない。
(参照:Sustainable Japan )

  • 世界中で原子力を放棄し、再エネに移行する動きがみられている。
  • また、2011年日本で起こった福島第一原発事故を受けて原子力を全廃することになった国が多い中、当事者である日本は原子力を低減することを目標にしながらも放棄する考えは見られていない。